2023年度大会優秀発表賞
2023年度 大会優秀発表賞について
大会優秀発表賞選考委員長 中尾 知彦
文化経済学会2023研究大会が7月8~9日に公立小松大学にて開催された。配慮の行き届いた大会であり、会場校や関係の先生方には心より感謝を申し上げたい。その研究大会にて今年度の大会優秀論文発表賞の審査が行われた。今年度の賞には4名のエントリーがあり、選考委員は会長の指名によって理事の中から岩本洋一(久留米大学)、小林真理(東京大学)、新藤浩伸(東京大学)、中尾知彦(慶應義塾大学)が務めた。
選考方法は基本的に昨年度と同様の方法で行い、選考委員全員が対象者4名の予稿とフルペーパーを読んだうえで、大会当日の発表を聞き、評価をした。選考基準は、Ⅰ.学術論文としての形式、Ⅱ.問題意識・分析・結果〔(1)問題意識、視点、調査手法等の新規性、(2)問題意識の明確さ、(3)先行研究との連続性と独自性、(4)分析、(5)分析結果〕、Ⅲ.発表の方法であった。大会後に各選考委員が評点を付け、その合計点を考慮のうえ合議を行った。
審査の結果、2023年度の大会優秀発表賞は、谷口みゆき氏(佐賀大学)の「伝統的町並みの保存が 観光地の評価に与える影響:『酒蔵ツーリズム』を実施する観光地の口コミの解析」が受賞することになり、2023年10月29日に浜松市で開催された秋の講演会の中で授賞式が執り行われた。
今回は、研究発表のレベルの高さゆえ、選考委員会でも充実した議論が出来たように思う。理事会でもその後、審査や表彰のルールの改良・整備を進めている。次年度以降も会員の皆様の積極的なご応募をお願いすると同時に、ますます充実した賞になっていくことを希望している。
大会優秀発表賞受賞の御礼
ギャラリーでの学際交流から生まれた研究
佐賀大学経済学部 谷口 みゆき
賞をいただいた研究は、私の所属する佐賀大学の地域貢献研究として、共同研究者の協力を得て取り組んできたものです。ご支援いただいた佐賀大学、佐賀県鹿島市、研究補助の学生さん、そして、共同研究者の今井晋先生(一橋大学)と鈴木広人先生(城西国際大学)に、心より感謝を申し上げます。
研究のきっかけは、佐賀大学理工学部のデザインギャラリーでの三島伸雄先生(佐賀大学)との学際交流でした。ちょうど2年前、東京五輪のエンブレムをデザインした野老朝雄さんの作品があると聞き、私は経済学部から理工学部の校舎まで足を運びました。作品は佐賀大学の地域貢献の象徴としてデザインされたものでした。私が作品を鑑賞していると、三島先生が偶然いらっしゃって、話し掛けて下さいました。私が町並みに惹かれて肥前浜宿を訪れた話をすると、三島先生が肥前浜宿の町並みを整備されたのだと知らされ、町並み保存の経済効果を定量評価してはどうかという話になりました。私にとって、芸術鑑賞の場とは、素敵な方達と素敵な時間を共有できる空間ですが、佐賀大学のギャラリーほど特別な空間はありません。
それから、敬愛する今井先生と鈴木先生に共同研究をお願いして、3人で何度も議論を重ねて研究を進めました。私は優秀な経済学者と経営学者に多くを学びました。道半ばの研究に賞をいただき大変恐縮ですが、これから学術研究に発展させるべく精進して参ります。