2024年度大会優秀発表賞
2024年度 大会優秀発表賞について
大会優秀発表賞選考委員長 岩本 洋一
2024 年度文化経済学会<日本>研究大会が7 月13 日〜14 日に愛知芸術文化センターで開催され、今年度の大会優秀発表賞の審査が行われた。今年度の賞には4 本のエントリーがあり、田代洋久(北九州市立大学)、矢澤利弘(県立広島大学)、吉澤弥生(共立女子大学)、岩本洋一(久留米大学)が選考委員を務めた。
選考基準はⅠ.学術論文としての形式、Ⅱ.研究目的・分析・結果[⑴研究目的、視点、調査手法の新規性、⑵研究目的の明確さ、⑶先行研究との連続性と独自性、⑷分析、⑸分析結果]、Ⅲ.発表の仕方であった。大会後に各選考委員の評価点数と合計点を入れた評価表を確認しながら、委員全員で意見交換を行なった。
審査の結果、2024 年度の大会優秀発表賞は、井上智晶氏(東京大学大学院 学際情報学府 博士課程)の「現代美術ギャラリーにおける所属作家の選考とジェンダー:プライマリー・ギャラリーを対象とした聴き取り調査から」が受賞することになり、同年秋の講演会(京都橘大学)で表彰式が行われた。現代美術作家のキャリア形成の困難性をジェンダーの観点から実証的に分析した貴重な研究であり、視点の新規性や独自性の観点から高く評価された。
大会優秀発表賞(次年度より「大会若手優秀発表賞」に名称変更)は、学会を将来的に担う若手会員の研究を活性化させることを目的に創設された賞である。次年度も多くの若手会員に積極的に応募していただきたい。

大会優秀発表賞受賞の御礼
東京大学大学院 学際情報学府 博士課程 井上 智晶
この度は2024 年度文化経済学会<日本>研究大会にて発表いたしました、「現代美術ギャラリーにおける所属作家の選考とジェンダー:プライマリー・ギャラリーを対象とした聴き取り調査から」を優秀発表賞に選出いただきましたこと、大会関係者、選考委員の皆様に深く御礼申し上げます。また、本研究の実施にあたりましてギャラリー・オーナーの皆様をはじめとして多くの方に多大なるご協力とご厚意をいただきました。この場をお借りして、本研究に協力してくださいました皆様に心より感謝申し上げます。
2019 年に開催された「あいちトリエンナーレ」以降、現代美術業界のジェンダー・ギャップは大きな問題となりました。芸術祭、美術館、美術大学など、さまざまな場面における男女比率とその格差を示すグラフに、一人の美術大学生として私自身非常に大きな衝撃を受けたのを思い出します。そこで本研究では特に、ギャラリーが美術作家の活動やキャリアに与える影響とその性差について着目することで、現代美術業界のジェンダー問題を検討することを試みました。
研究大会では皆様から貴重なご意見、ご指摘をいただき、勉強不足を痛感するとともに、身の引き締まる思いになりました。この受賞を励みに、学術研究の発展、及びアートシーンへの研究成果の還元のためにも、研鑽に励んでいく所存です。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
この度は誠にありがとうございました。