2024年度 研究大会を振り返って
高島知佐子(静岡文化芸術大学)
2024年度の研究大会は、「2050年の公立劇場」をテーマに、7月13日(土)と14日(日)の2日間にわたって、愛知県名古屋市の愛知芸術文化センターで開催され、全国から約180名が集まった。
大会1日目は、午前中に特別セッションⅠ「大名古屋都市圏からの文化発信」、午後から特別セッションⅡ「創造空間としての公立劇場」、メインシンポジウム「公立劇場のサステナビリティ」が行われた。多くの公立劇場が建設から30年以上を経て、改修や建て替え等を迎え、今後トリアージされていくであろうことを背景に、公立劇場の存在意義を問うテーマが設定された。昨今、公立文化施設の運営のあり方の議論が増していることから、メインシンポジウムの内容は後日、中日新聞にも掲載された。参加者のうち60名弱は非会員だったことから、公立文化施設、特に劇場の多い名古屋圏において学会員以外の関係者からの関心も高い内容だったと言える。
大会2日目は、9つの分科会「公立文化施設」「コミュニティ」「伝統・地域文化」「地域とアート」「文化統計・計量分析」「文化政策・文化支援」「都市と文化」「コンテンツと文化産業」「教育」が設けられ、計23の研究発表がなされた。加えて、3つ会員企画セッション「日本の芸術家のためのセーフティネット構築について考える」「産業としての伝統工芸の海外展開」「わが国における文化統計の体系化に関する調査・研究―文化統計及び統計分析の充実に向けて―」も同時開催され活発な議論がなされた。
今大会では、エクスカーションとして会場建物内の愛知県芸術劇場で7月12日(金)・13日(土)に上演された自主事業「NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)プレミアム・ジャパン・ツアー2024」の公演割引が同劇場より提供され、世界で最も人気があると言われるコンテンポラリーダンスカンパニーの公演を楽しむ機会を得られた。懇親会は、会場近くの重要文化財・名古屋テレビ塔側にあるEloise’s Caféで行われ、多くの学会員が参加し盛況であった。
本大会は、愛知県芸術劇場(愛知県文化振興事業団)との主催で、運営においては、実行委員会を中心とした同劇場の多大な協力のもと開催することができた。また、当日は、クリエイティブ・リンク・ナゴヤの皆様をはじめ、愛知県内の文化施設職員の方々にも多くの面でサポート頂き、無事に大会を終えることができた。プログラム委員会より、この場を借りて皆様に心よりお礼申し上げます。